「知っていると得をする、知らないと損する」
「シニアFIRE」生活者の教科書
定年退職後に、「ゆとりある老後生活」の実現を目標に、筆者が提唱している「シニアFIRE」生活を開始している人が増えています。定年退職後の「シニアFIRE」生活者が、「知っていると得をする、知らないと損する」節税テクニックの記事を投稿します。
「シニアFIRE」て何!
初めて「シニアFIR」という言葉を聞かれた方、50歳を過ぎて、老後生活について考え始めた方は、是非、筆者が提唱する「シニアFIRE」に関する関連記事を読んでみて下さい。
「FIRE」とは(Financial Independence Retire Early)」と呼ばれる生活スタイルで、直訳すると「経済的自立と早期退職」になり、「FIRE」に関する書籍も多く発行されており、アメリカ発祥の注目されている生活スタイルです。不労所得で生計を立てることで経済的に自立し、自由な生活を目指すというライフプランのことです。
筆者は、特に60歳を過ぎた方に、公的年金と資産運用で「ゆとりある老後生活」を可能する「シニアFIRE」の生活スタイルを推奨し、実現のための記事を紹介しています。
「シニアFIRE」について詳しく知りたい人は、以下をクリックしてみてください
👀☆著者のwebページ:「シニア「FIRE」=「経済的自立と早期退職」で、「ゆとりある老後生活」を実現しています。
👀☆kindleの電子書籍 「シニアFIRE」ゆとりある老後生活を実現
始めに
一般的に広義での社会保険というと、大きく分けて「健康保険」「介護保険」「年金保険」「雇用保険」「労災保険」の5種類を言います。
今回の記事の対象にしている「シニアFIRE」生活者は、すでに退職しており、年金受給を開始しています。このため、「シニアFIRE」生活者が関係する社会保険は、「国民健康保険」又は「後期高齢医療制度」と「介護保険」と考えてください。
「シニアFIRE」生活者は、それほど優雅な生活を希望しているのではなく、どちらかと言えばミニマリストの考え方が強いはずです。
年金生活者のほとんどは、健康保険料(「国民健康保険」又は「後期高齢医療制度」)と介護保険料が年金から特別徴収されるのが一般的です。
税金と社会保険料を差し引かれた年金支給額が、可処分所得となり、「シニアFIRE」生活者にとって最も重要な金額になります。
可処分所得が、個人が自由に処分できる収入になり、生活の中で消費と貯蓄に振り向けられる、一般的に言う手取り額です。
今回の記事は、年金から差し引かれる社会保険料の種類と内容を紹介しています。「シニアFIRE」生活を開始する前に理解しておくことで、保険料をできるだけ少なくする節税対策につながります。
健康保険(「国民健康保険」又は「後期高齢医療制度」)と「介護保険」は、
「シニアFIRE」生活者の社会保険の種類は65歳と75歳で変わります。
各年齢別の社会保険料とは
65歳未満:
社会保険料は、国民健康保険の1種類になります。(夫婦の場合、二人分徴収されます。)
Ⅰ)国民保険料:1)医療保険分、2)後期高齢者支援金等分、3)介護保険分の3種類に分類されます。
保険料の計算は、医療保険分、後期高齢者支援金等分、介護保険分ごとに、①所得割、②均等割、③平等割に分けて計算され、保険料が決まります。
65歳~75歳未満
社会保険料は、国民健康保険と介護保険の2種類になります。
Ⅰ)国民健康保険:1)医療保険分、2)後期高齢者支援金等分、の2種類です。【3)介護保険分は、夫婦別々に介護保険として徴収されるようになります。】
Ⅲ)介護保険:夫婦別々に 合計所得金額と課税年金収入額で保険料が段階別に決まります。
75歳以上
社会保険料は、後期高齢医療制度と介護保険の2種類になります。
Ⅱ)後期高齢医療制度:夫婦別々に「均等割額」+「所得割額」が徴収されます。
Ⅲ)介護保険:夫婦別々に 合計所得金額と課税年金収入額で保険料が段階別に決まります。
「合計所得金額」と「総所得金額等」については、
下記の関連記事で「知っていると得する、知らないと損する」節税テクニックを紹介しています。
健康保険(「国民健康保険」又は「後期高齢医療保険制度」)と介護保険の節税テクニック
「シニアFIRE」生活者の節税テクニックの重要ポイントのひとつは、「合計所得金額」≒「総所得金額等」を、無駄に増やさないマネープランを立てることです。
筆者が推奨する理想的なマネープラン
下記の「シニアFIRE」生活者の世帯収入が、最も節税効果い収入と言えます。
ポイントは、公的年金収入は「住民税非課税世帯の基準」をクリアーさせておくことで。
- 公的年金の世帯収入(夫210万円 妻80万円)=290万円
- 個人事業の事業収入65万円
- アルバイト等の給与所得55万円
- NISA口座で資産運用 例えば、2000万円以上の運用原資で運用収益率4%で80万円以上
収入合計490万円以上あれば
(「ゆとりある老後生活」を満喫できます)
関連記事で👀定年退職後の「シニアFIRE」の理想的な収入(所得)額を教えます。 を併せて読んで下さい。
※頑張りすぎて働き「住民税課税世帯」になるとことは絶対に避けてください。
- 理想的な年収であれば、「住民税非課税世帯」となり、徴収される税金や社会保険料は最低額の20万円前後に抑えることができます。(所得税・住民税、国民健康保険料と介護保険料の年間合計で大幅節税ができます)
- しかし働きすぎて合計所得金額が増え「住民税非課税世帯」の基準を1万円でも超えてしまい「住民税課税世帯」になると、30万円以上の税金や社会保険料が徴収されます。
筆者のWEBページを参考に、「ゆとりある老後生活」の実現に向けて、理想的な収入額の目標を立てて、60歳以降の「シニアFIRE」生活を開始してください。
「シニアFIRE」生活者の理想的収入の場合の恩恵とは:
1)国民健康保険の均等割額と平等割額が5割軽減
2)後期高齢医療の均等割額が5割軽減
3)さらに自己負担割合も1割負担となります。
≪国民健康保険料の計算≫
国民健康保険料の基準になる所得は「総所得金額等」になります。
2023年2月現在の大阪府八尾市の情報を基に、具体的な計算例を紹介します。
国民健康保険料は
(65歳未満の方)
国民健康保険料(八尾市)の所得割額の計算に使われる税率は、
・医療保険分6.90%、
・後期高齢者支援金等分2.59%、
・介護保険分(65歳未満まで)2.59%、
と合計12.08%になります。
※ 賦課標準所得金額とは・・・
国民健康保険の加入者のうち、前年中に所得のある人について、その所得額から基礎控除額43万円を除いた額(43万円を除いてマイナスとなる場合は所得額が基礎控除額となります)を世帯単位で合計した額。
(65歳以上の方)
国民健康保険料の介護保険分がなくなり、その分が介護保険制度で徴収されます。この時に適用される段階は、「住民税非課税世帯」であるかどうか、および夫、妻の年金収入額で、介護保険制度の保険料の段階が決定します。
住民税非課税の基準も「合計所得金額」で計算されます。住民税非課税世帯が適用されるかどうかで年金手取り額が大きく変わってしまします。
👀国民健康保険の自動計算サイト https://5kuho.com/keisan/ で計算してみて下さい。
ここでの計算は概算です、各市町村の税率や所得金額により変動します。
≪後期高齢者医療制度の計算≫
基本、75歳以上になると、国民全員は、後期高齢医療制度の被保険者となり、保険料は原則一人ひとり年金から徴収されるようになります。
「シニアFIRE」生活者の夫婦のほとんどの世帯は、均等割額の5割軽減の恩恵が受けられます。
同一世帯内の被保険者と世帯主の「総所得金額等の合計額」が重要になります。
(後期高齢者医療制度 保険料の計算方法)
保険料と保険料率は、各都道府県において運営主体となる広域連合が、「財政的負担能力」と「地域の医療費の水準」に応じて、決めていくことになります。
保険料は、被保険者全員が一律に負担する「均等割額」と、被保険者の所得に応じて負担する「所得割額」、これらを合計した額で決まります。
つまり、「保険料」=「均等割額」+「所得割額」 ということです。
👀大阪府の保険料計算できるサイトで確認してください。
所得割額
所得割額=【基礎控除後の総所得金額等】×11.12%で計算されます。「総所得金額等」は、「合計所得金額」から純損失・雑損失・資産運用の繰越損失等がある場合、損益通算することで減額できる可能性があることを知っておいてください。
均等割の軽減
均等割額= 所得額により軽減されます。所得の判定区分を知っておくことで節税ができます。
世帯の総所得金額等の合計額が43万円以下で7割軽減、100万円以下で5割軽減、147万円以下で2割軽減になります。
「シニアFIRE」生活者で夫婦二人の場合、ほとんどが5割軽減になります。
保険料の軽減が受けられる場合
○ 所得の低い方には、保険料の軽減措置が適用されます。
I,均等割額の軽減
世帯内の所得水準に応じて保険料の均等割額(54,461円)が下表のとおり軽減されます。
(※)波線部は同一世帯内の被保険者と世帯主に給与所得者等(次の(1)~(3)のいずれかに該当する方)
大阪府後期高齢者医療広域連合HP
が2人以上いる場合に計算します。
(1)給与等の収入金額が55万円を超える方
(2)65歳未満かつ公的年金等収入金額が60万円を超える方
(3)65歳以上かつ公的年金等収入金額が125万円を超える方
※軽減の判定は、4月1日(4月2日以降に加入した場合は加入日)の世帯状況で行います。
判定日の後に世帯状況に異動があった場合でも、年度途中の再判定は行いません。
※軽減判定するときの総所得金額等には、専従者控除、譲渡所得の特別控除に係る部分の税法上の規定は
適用されません。
※当分の間、年金収入につき公的年金等控除額(65歳以上である方に係るものに限る。)
の控除を受けた方については、公的年金等に係る所得金額から15万円を控除した所得金額を
用いて軽減判定します。
※世帯主が被保険者でない場合でも、その世帯主の所得が軽減判定の対象所得に含まれます。
所得に応じて自己負担割合や保険料軽減の判定を行いますので、所得がない場合も市区町村担当窓口に申告をお願いします。
≪医療費の自己負担割合とは≫
「シニアFIRE」生活者のほとんどの世帯は、自己負担割合が1割負担になり、大きなメリットになります。
「シニアFIRE」生活者でも、年金収入以外に事業所得や給与所得が、筆者が推奨する理想的な収入額を超えてしまい「合計所得金額」が増加してしまうと、
「年金収入+その他の合計所得金額」が320万円以上(筆者の提案の年金の理想収入210万円とするとその他の合計所得金額が110万円以上)になると2割負担以上になる場合があります。(下記の引用資料を参照ください)
自己負担割合
医療機関窓口での自己負担割合は、一般の方は1割、一定以上の所得のある方は2割、現役並み所得者は3割となります。
自己負担割合は、4月から7月までは前年度、8月から翌年3月までは当該年度の住民税が課税される所得額(各種所得控除後の所得額)等を用いて判定します。
※当該年度による判定は毎年8月1日に行われます。同一世帯に複数の被保険者がいる場合は、当該年度の「課税所得(※1)」が高い方と同じ自己負担割合となります。
医療機関にかかられる時は、必ず被保険者証を窓口で提示してください。
※マイナンバーカードを保険証として利用できるようご登録いただいている場合は、「マイナ受付」のステッカー・ポスターが貼ってある医療機関や薬局でマイナンバーカードを健康保険証として利用することができます。
詳しくはマイナンバーカードの保険証利用のページをご確認ください。※1 「課税所得」とは住民税が課税される所得額(前年の収入から、給与所得控除や公的年金等控除、所得控除(基礎控除や社会保険料控除等)を差し引いた後の金額。市町村民税・都道府県民税納税通知書が届く方は「課税標準」の額)です。
なお、同一世帯に合計所得金額が38 万円以下である19 歳未満の控除対象者がいるときは、その人数に一定額(16 歳未満33 万円、16 歳以上19 歳未満12 万円)を乗じた額を世帯主である被保険者の市町村民税課税所得から控除します。
※2 「年金収入」とは、公的年金等控除を差し引く前の金額で、遺族年金や障害年金は含みません。
※3 「その他の合計所得金額」とは事業収入や給与収入等から、必要経費や給与所得控除を差し引いた後の金額です。
※4 収入額が一定の基準に該当するときは、基準収入額適用申請をすることにより2割または1割の負担に変更となる場合があります。詳しくは次項「●基準収入額適用申請について」をご確認ください。
(申請不要の場合があります。申請の要否については、お住いの市区町村担当窓口にお問い合わせください。)
※この他に、昭和20年1月2日以降生まれの被保険者と同一世帯の被保険者の保険料の賦課のもととなる所得金額(注)の合計額が210万円以下の場合は2割または1割の負担になります。)(注) 保険料の賦課のもととなる所得金額とは、前年の総所得金額および山林所得金額ならびに他の所得と区分して計算される所得の金額(分離課税として申告された株式の譲渡所得や配当所得・土地等の譲渡所得など)の合計額から基礎控除額を控除した額です。(雑損失の繰越控除額は控除しません。)また、基礎控除額は地方税法第314条の2第2項に定める金額になります。(例:前年の合計所得金額が2,400万円以下の場合、43万円)
大阪府後期高齢者医療広域連合HP
≪介護保険料の計算≫
介護保険制度は地域保険であり、お住いの市町村が保険者として制度を実施しています。65歳以上の第1号被保険者の方々が納める介護保険料も、市町村が3年ごとに介護保険事業計画を策定し、それぞれの地域における3年間の保険給付費の見込みにもとづき、具体的な額を定めています。(各市町村の介護保険制度を確認ください)
(介護保険料が決まる各段階の条件に使われる、合計所得金額と課税年金収入とは)
合計所得金額・・・
- 年金・給与・事業などの所得(収入金額から必要経費に相当する金額を差し引いたもの)をすべて合算したもので、基礎控除や扶養控除などの所得控除をする前の金額です。
- 土地を譲渡した場合に生じる売却収入等がある場合は、租税特別措置法(昭和32年法律第26号)に規定される長期譲渡所得又は短期譲渡所得に係る特別控除額を控除した後の金額になります。
- 合計所得金額に給与所得又は公的年金等に係る雑所得が含まれている場合は、10万円を控除した後の金額(マイナスの場合は0円)になります。
- 収入が公的年金収入のみの場合、公的年金収入金額から公的年金等控除額を差し引いたものが合計所得金額となりますが、
- 第1段階から第5段階における合計所得金額は、公的年金等に係る雑所得を控除した後の金額(給与所得が含まれている場合は、所得金額調整控除前の金額から10万円を控除した後の金額で、マイナスの場合は0円)になります。
所得金額調整控除とは
給与所得控除と公的年金控除の両方が控除されている場合、簡単に言うと、2020年以降の税制改正で、基礎控除額を10万円増やし、その分、給与所得控除が10万円減額され(例えば65万円⇒55万円)、公的年金控除額も10万円減額され(例えば120万円⇒110万円)ました。このため給与所得控除と公的年金控除の両方の収入がある人は、2020年前と比べ合計所得金額が10万円増える計算になってしまうため、所得金額調整控除という項目を作り、2020年前と同じ合計所得金額になるように調整しました。
このことで、合計所得金額の計算は少し複雑になりましたね!
介護保険料の段階が決める計算は、合計所得金額が重要になります。どのような収入が合算されるのか知っていることで、大幅な節税テクニックが発揮できます。
課税年金収入額・・・
- 老齢年金・退職年金など、課税対象となる年金などの収入金額をいい、遺族年金・障害年金などの非課税年金は含まれません。
≪「知っていると得をする、知らないと損する」節税テクニック≫
ちょっと内容を理解するのは難しいかもしれませんが、例えば、八尾市に居住の夫婦二人(65歳以上)世帯で、収入が年金だけと想定します。
八尾市の場合の介護保険料(R3~R5年度)の基準額は78,680円
(ちなみに大阪市の基準額は97,128円となり市町村で大きく異なります。各自の市町村の介護保険料を確認ください。)
≪モデルA≫:理想的な「シニアFIRE」と考える夫婦(筆者が実現しています。)
【合計所得金額が夫の年金収入のみの210万円(211万円の壁以下)、妻の年金収入が80万円(住民税非課税の基準155円以下)の場合】は、世帯全員が市民税非課税(住民税非課税世帯)になります。
八尾市の場合
夫は
第3段階:世帯全員が市民税非課税で、合計所得金額と課税年金収入額の合計が120万円を超える方:基準額の70%の55,080円
妻は
第1段階:世帯全員が市民税非課税で、合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円以下の方:基準額の30%の23,610円
≪モデルB≫:上記モデルAの場合の夫婦の収入が各1万円増えた場合
【合計所得金額が夫の年金収入のみの211万円、妻の年金収入が81万円(住民税非課税の基準155円以下)の場合】
夫は、
公的年金収入211万円ー年金控除110万円=合計所得金額101万円となり、R3年税制改革調整10万円を差し引いて=91万円
第6段階:本人が市民税課税で、合計所得金額が100万円未満の方:基準額の120%の94,420円
妻は、本人が市民税非課税となりますが
第5段階:本人が市民税非課税で、合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円を超え、同一世帯に市民税課税者がいる方:基準額100%の78,680円
【節税結果】
≪モデルA≫より≪モデルB≫の夫婦は、94,410円も増えてしまいます。
夫婦の年金収入が20,000円ほど増えるだけで、介護保険料が78,690円⇒173,100円になってしまいます。
ほんの少しのことで大変なことになってしまいます。
65歳になる前に夫婦の年金額の確認を忘れないで確認してみて下さい。
≪「知っていると得をする、知らないと損する」節税テクニック≫になります。
最後に
「知っていると得する、知らないと損する」節税テクニックをさらに詳しく知りたい方は、以下の関連記事も是非読んで下さい。
☆関連記事:👀定年退職者向け「知っていると得する、知らないと損する」節税・確定申告テクニック
☆筆者のHPに、定年退職者、特に「シニアFIRE」生活者が「ゆとりある老後生活」を実現するための記事を投稿しています。
👀人生100年時代 定年退職者のためのホームページ にアクセスしてみて下さい。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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